February 20, 2009

カゼヲキル 〜助走〜

マラソンや駅伝などのテレビ中継での、ソフトでポジティブな解説でお馴染みの増田明美さん初の小説です。

御自身をモデルにしたのかと思われるような、純朴で走ることが大好きな女子中学生が主人公です。大きな可能性を秘めた原石である主人公がこの巻で発掘され、この後『激走』『疾走』と磨かれ成長していくようです。

小説のプロが書いた作品ではないので、多少引っかかる所はあります。表現がくどいところがあったり説明が足りないところがあったりもします。しかしそれを補ってあまりあるのが“走り”の場面です。そこはさすが走りのプロ。走ることのワクワク感(この巻では中長距離です)を活き活きと表現しています。

小学校高学年から中学生あたりの読者と想定して書かれたそうです。ちなみに私は約2時間ほどで読み終えました。昔NHKで夕方に放送されていた少年ドラマシリーズのような、少し懐かしいテイストも感じられます。まだまだ荒削りで、裸足で野山を駆け回っているかのような主人公と作者。この後オリンピックを目指すらしいので、この先が楽しみです。

しかし如何なものかと思うのがこの表紙のイラスト。増田さんのイメージを残しつつ純朴な少女の表情を表現したのでしょうが…これは中学2年生には見えません。せいぜいが小学3年生くらい。惜しかった〜。

(講談社 1350円)