May 16, 2007

『憲法九条を世界遺産に』 太田光・中沢新一 集英社新書

4月中に読んだんだから憲法記念日の前に記事を書いて、ちったぁナニモノかに貢献すればいいんでしょうけど、そういった殊勝な心掛けはどっかに忘れちゃったもんで、今頃紹介です。

太田光しは言わずと知れた爆笑問題の線の細いほう。テレビで総理大臣になって眉間に青筋立てて叫んでいるのはちょっと演出過多かなとは思うものの、言っていることは共感できることが多い。

一方の中沢新一氏は80年代半ばあたりの“若手論客”。その後オーム騒動では「(サリンで)何万人も死ねば意味合いが違ったのにね」発言で一部に大顰蹙。忘れられたころに登場、というワケですか。

本の帯には“白熱の対論。”と書かれていますが、そんな事は全然ない。白熱なんかしません、べつに意見が対立しているワケじゃないんですから。

憲法九条を世界遺産にしようというのは、こんな絵に描いた餅みたいなモノを守る事自体に意味がある、という事のようです。今の日本人に一番欠けているのは、そういうやせ我慢とも言える毅然とした態度だ、という事です。そこは共感。やせ我慢、大切です。


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そんな憲法を改正したくてたまらない総理大臣は、なぜ改正しないとイケナイのかという説明も議論もなしに、「取りあえず国民投票できるようにしちゃおうぜ」と法案を衆院に通しました。そんな大事なことをこんな国民に任せていいのか、と思うんですけどね、我ながら。

その法案の中には『成人を18歳に』なんていうオソロシイものも。
22歳や25歳くらいに引き上げるってんなら分かるような気がするんですけどね。
20歳さえ大人の仲間に入れるのに躊躇する(あのお馬鹿成人式を観よ!)ってのに…。


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憲法や改憲を考える入口としては、悪くない一冊です。言葉遣いも文章もわかりやすいでから。