September 08, 2008

キリギリス

 自宅から歩いて行ける所にちょっとした呑み屋があるかどうかで、その街での暮らしは少し色合いが変わってくる、と思っている。我が家から歩いて数分の所に小さな一杯呑み屋が開店して数か月。先日ようやく試してみた。、歩道橋を渡らなければ行かれないのがちょっと気に入らないのだが。

 まぁそれほど立派な店ではなかった。いかにも脱サラ風のご主人が一人で切り盛りしていたので、4組ほどの客の注文にも応じきれない様子。ビールの注ぎ方にも、油断がかじられたしラジカセから流れるC&WなBGMも途切れがちだった。

 焼き鶏とモツ煮がそこそこ美味かったのはなかなか良かった。そしてもう一つポイントを稼いだのが壁にぶら下がった虫かごにキリギリスがいて時々鳴き声を聞かせてくれたことだ。

 いつの間にか蝉の声が聞こえなくなり、秋の虫がそれに代わった。地面から聞こえてくるのはコオロギだが、街路樹の上から聞こえてくるのはいかにも大音量な外来のアオマツムシ。すっかり日本の秋の代表みたいな顔をして大合唱しているが、彼らは外国語で鳴いているのだ。

 久しぶりにキリギリスの声を聞いた。子供時代を過ごした北海道の原っぱを思い出した。秋が終わる頃にはなくなってしまう季節限定のつまみだが、悪くない。いなくなる前にもう一度この店に来ようと思った。ご主人はバタバタのままだったけど。

Posted by kojiyan at 08:15:46 | from category: Main | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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